あれは、小学校の5年生位だったろうか・・?当時、TVで「宮本武蔵」をやっていて、歴史大好き人間の私は父親に頼んで初めての歴史小説を買って読んだ。吉川英治の「宮本武蔵」だ・・!
当時は漢字と内容の深さで、ろくに読んで無かったと思う。それからというもの何回も違う配役でTVで放映されるし、映画や漫画など幅広く我々日本人の心を掴んで離さない永遠のヒーローだ・・。しかし、歴史英雄の名前ランキングでは、下位の方にランキングされている・・。その破天荒な性格と一匹狼的な様相、晩年は非凡な才能を芸術の分野で開花させるが、いかんせんイメージが振り払えない・・。一匹狼的な剣豪が生きていく時代が終わりを告げた瞬間だ・・。その後、徳川時代は300年の安定と平和を続ける。
「武蔵」が生まれたのは諸説あって、岡山(美作)という説と、兵庫
(播州)という二つの説があるが、17歳で関ヶ原の戦いに参戦し負けを経験し、そこから、自らの荒修行を得て、人間的に成長していく。吉川小説では、「沢庵和尚」や「お通」「又八」などの人間に触れながら成長していく。
しかし所詮、一匹狼!眼に血を滲ませながら決闘に明け暮れて、生涯60回以上の戦いが続くが・・そこで得たものとは、行くところも無く、食べることさえままならぬ時代に取り残された英雄の姿でしかなかっただろう・・。
晩年は肥後細川藩の食客として過ごすが、いわゆる「居候」なわけで見兼ねた細川公が手を差し伸べたのだろうか?そんな中で、「武蔵」は「乾坤一擲」有名な「五輪書」を書きあげ、その直後没している。
どんな思いでこの書を書いたのだろうか・・?地・水・火・風・空という五つのキーワードを残した「武蔵」・・!TVや漫画の世界では描けない「武蔵」の「無念」が詰まっているのかもしれない・・。